大学院卒業しました pic.twitter.com/Lhzl8mYJZK
— tanishiking👑 (@tanishiking) September 22, 2025
先日、東京科学大学情報理工学院 数理・計算科学系を修了し、修士(理学)を獲得しました。 大学院の入学は2021年4月で、卒業するのに4年半もかかってしまった(そのうち2年間は休学)。入学当初は東京工業大学だったんですけどね...
2017年に学部(工学部情報学科)を卒業した後4年ほどWebエンジニアとして仕事をした後に大学院入学し、在学中は業務委託で仕事を受け空いた時間に大学院に通ったり休学したりする感じの生活をしていました。
大学院の研究室の雰囲気はとても良くボスは教育熱心で、自分の想像と強いエビデンスのある主張を分類し、自分の頭で論理的にものを考えて相手に伝わるようにアウトプットするという訓練をよく積むことができたと思う。1

入学から卒業まで
大学院進学を考え始めたのは、プログラミング言語に関わる仕事(コンパイラ、ランタイム、IDEなどの周辺ツール)に興味があり、それらに関わる仕事を専門にできないだろうかと思ったのがきっかけでした。 そういったキャリアを構築したいと思ったものの何から始めたら良いのか分からず、とりあえず今できることをと思って大学院でプログラミング言語関連の研究室に行ってみることにしました。研究に興味が湧いてPL研究者としてのキャリアに目覚めるかもしれなかったしね(目覚めませんでした)。
大学院生活は順調とはいえず、最初はプログラミング環境/体験に興味を持って研究したり、ワークショップに出したりもしていたが、人を対象にする実験を考えるの難しかったり、あまり自分の納得のいくものができない気がして断念。
研究テーマに悩んでいるうちに、趣味でやってたScalaの言語周辺ツールがきっかけで現職のVirtusLabでコンパイラエンジニアとして働き始め2、そっちが楽しくて大学院はおざなりになり結局2年間休学。その間に結婚などのライフイベントが発生してますます大学から離れていった。
一方で2024年あたりからEPFLの人たちとScalaからWebAssemblyへのコンパイラを開発していて、ちょうど休学可能期間が終わる2025年4月の時点である程度成果が出てきていたので、それを(各方面と合意をとり)修士論文として出させてもらうことで卒業しました3。来月開催のICFP/SPLASH併催のWAWで発表予定です。
結局自分は実装の細かいところばかりに興味が向かってしまって、面白い研究のアイデアみたいなところにあまり目を向けることができなかったなぁと思うし、今後も意識的にいろんな論文とか読んでインプットしていかないとそういうところに興味が湧くことはないんだろうな。やっていきたい(ほんまか?)。
社会人学生
僕もいわゆる社会人学生ってやつになると思うのですが、セルフマネジメント下手すぎて仕事に集中すると研究が進まず、研究活動をやると仕事がおざなりになり、みたいな感じで両立は全然無理だった。4 (セルフマネジメントが上手だったり、異常なバイタリティある人はなんとかなると思うけど僕は無理)。運良く外部での活動が研究として認められて卒業にこぎつけることができたが、そうでなかったら多分退学してたかもしれない。
関東
そういえば関東に引っ越すきっかけも大学院進学だった。結局人が多いところが苦手な自分には関東在住はnot for meで関西に戻ってしまったけれど、一時的に関東に住んだおかげで東京住みの友人たちと仲良くなれたし、趣味のボルダリングにはまることができてとても良かったと思う。
そんなに上手くはいかなかったけどとりあえず卒業できて良かった!今後も現職でコンパイラエンジニアを続けます。プログラミング言語に関する活動を続けている限りは学会なんかにはたまに顔を出しそう。今年はPPL行こうかなぁ

- TaPLの輪講を研究室でやれたことや、 鹿島亮先生の論理と計算や西崎真也先生のプログラム理論の授業を受けられたのも楽しかった。↩
- コンパイラ開発の仕事に就くという目標は大学ではなく趣味のつながりから叶ってしまった。↩
- 本来はなにか学術的な課題があってそれを解決するために物を作るのが本筋だと思うのですが、(産業的なモチベーションで)まず物を作って、そこに無理やり学術的な価値(?)を後付けするような形になのでちょっとずるい。↩
- 研究はいくらでも時間使えるので他との両立が難しかった。僕の場合は仕事もかなり自己管理が要求されるものだったので余計にしんどかった。コロナ下だったこととか、最初に目をつけたテーマで卒業しなかったのも良くなかったかもしれない。↩